・都市生活
・レギャンの花嫁
・連夜
・レシタションのはじまり
・ヘルシンキ
・人生の広場
・20マイル四方で唯一のコーヒー豆
・きみのためのバラ
池澤夏樹短編集。中学校の教科書にあった「星が透けてみえる大きなからだ」以来のファンである。解説では「ことばの不在」という線で、この短編集をまとめている。個人的には、沖縄帰りということもあって「連夜」にぐっと引き込まれたし「レシタション」はある種の宗教性の話である。「レギャンの花嫁」「ヘルシンキ」「都市生活」は我々の日常を映す泡沫の鏡だ。「人生の広場」は僕のいまであり「20マイル四方で唯一のコーヒー豆」はThe Secret Life of Walter Mittyのごとく物語である。そして終話「きみのためのバラ」はすべての人の濃密な青春の空気である。