4月22日 火曜日
当初三日ほどの滞在で良いかと思っていた久米島だったが、予想外に見て回れる景色があり、また僕の不注意による事故もあり、闇と復活がある時間となった。朝、荷物をまとめて、友人の車に乗せて港へ。僕の日常には、海も山もなかったから、出航というのはそれだけで非日常を感じさせてくれる。豪華客船である必要はないのだ。朝8時半、曇天の朝に煙る島を後にビルを寝かせたようなフェリーが動き出す。汽笛が大きな音でなり、その響きが僕のこの島での滞在に幕を下ろした。
ゆっくりと確かに遠ざかる島の様々な場所を見ながら、あぁ、あの山の上からはあんな景色だったなぁ、あの浜の上空からあの岩を見たよな、あの道から見た景色の中に僕はいたんだな、とか。RPGのラストのように物語の始まりには見えなかった大まかな全体図が星座のように輪郭を紡いでいく。
潮風と飛沫に打たれながら遠ざかる島影を見ながら、ふと、ストライクウィッチーズを思い出した。あぁ、芳佳ちゃんやもっさん、リーネちゃんたちが見た世界というのは、こういうものだったのか。刹那、ストパンの劇場版EDが脳内再生され始める。パラグライダーで見えた景色、在米時にやっていた地下食堂の掃除、言の葉の庭に描かれた東京の雨の色が、現在と溶け合った。いわゆる島尻と呼ばれる南端部を眺めて、僕は船内へと戻った。
フェリーは途中で渡名喜島に寄港して、その後、那覇へ。海と濃い緑と働く男たちの背中がまぶしい。今回は3G回線がずっと使えた。那覇に到着後、とりあえずの昼食。昭和テイスト溢れるゲーム卓にて手羽先の煮付け定食600円、珈琲付。その後、バスに乗って滞在先へ。夜、数日分の食事購入のために近所のスーパーへ。しばらく雨が降るのかもしれない。