どっか暖かいとこで猫と静かに海みて暮らしたい

ネットの海の枯れ珊瑚がふく泡...('A`).。。... 書いてることは全部嘘です

17年前の明日の虹の向こう 青春の終り

5月23日 金曜日

  結局、明日からちょっとだけ東京にいくことになった。あと実家にいるのも、やはり疲れるので、引っ越すことに決めた。人生行き当たりばったりもいいところである。とりあえずの布団と荷物を送る準備をだらだらとやった。

 夜、回転寿司が食べたくて、出るまえに地元の友人にもう一度連絡。到着は9時半を回るとのこと。で、最近、僕の中で期待値の高い100円寿司スシローへ。スシローはラーメンがうまいとのことで、ジャンクな味に期待して行ったが、来たのが遅すぎて品切れだった。残念である。

 その後、せっかくなのでと、時期が早いかもしれないが、ホタルを見にいった。最近では久米島でもみたが、僕がみたホタルで一番印象に残っているのものは、実は、地元の友人と一緒にみたホタルである。もう5年以上は前になるが、あのホタルは忘れられない。次点は、米国の草原で夕暮れにみた大量のホタルの飛翔である。が、今回みたホタルを、僕は、きっと忘れないだろう。

 車を少し走らせて、ある川の上流域に到着。街灯だけが光る暗い町だ。外に出てみると、肌寒い。この寒さだとホタルは無理だろうと思った。が、星がきれいだ。少なくとも、僕が日常的にみている都会の空とは大違いだ。沖縄では、雲一つなく晴れるということが珍しいので、また湿度もあるだろうから、星はそこまで見えない。しかし、ここは違った。

 オリオン座や柄杓星がどこにあるのか迷う程度には、暗天に光がちりばめられている。思わず、おお、と声を上げた。もちろん北海道や洋上、または天体観測の景勝地には叶わないだろう。川のせせらぎを聞きながら、ただ上を見上げる。すると、柄杓星の間を星が流れた。声をあげて、友人にいう。すると、また星が一つ、今度は右のほうで流れた。おおお。

 もう一度、流れ星をみたいなとしばらく雑談していて、そして首が痛くなってきた頃、今度は友人が声をあげた。振り向くと、ホタルが一匹だけ川から出てきて道路の上を飛んでいる。まだ寒くて出て来ないだろうと思ったが、本当に一人悠々とホタルが飛んでいる。

 なんと、三つ目の流れ星はホタルだったか(白目)幽玄な蛍光は悠然と道路の上を通り、田んぼの上を回って、川の茂みの中に消えていった。蛍の成虫の平均寿命を思うと、少し切なくもあるが、彼または彼女が、その姿を現してくれたことを単純にうれしく思った。時間も日付をまたいだので、僕と友人は車のドアを閉めた。

 ほかに二組ほど、ホタル目当ての恋人たちらしき人々がいたが、彼らは見ていないようである。残念。申し訳ないが、こちらは30代半ばのおっさん二人である。神は、独身の小汚いおっさん二人を恵み給う。アーメン。

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 帰宅後、荷物の整理をしていたら出てきた写真を友人に見せた。僕と彼、彼と彼の弟がバスケットボールを抱えて、虹を背景に写っている。17年前の明日、つまり1997年の5月25日に撮影したと、右下のオレンジ色の日付が言っている。デジカメやネットはまだ普及していなかった頃だ。写真をみた瞬間、よみがえってくる様々な景色がある。友人は少しだけその写真を見つめていた。僕も彼も、そして彼の弟も、きっと、この写真の瞬間を覚えている。

 じゃ、また。と友人と別れた。その後、僕は、本当に僕の青春が終わっていることを確認した。17年前の明日、僕は何を思い、何を考えていたのだろうか。もう委細は思い出すことができない。でも、ただ、僕らはそこにいて、珍しく派手に現れた虹に興奮して、バスケをやめて写真を撮ったのだろう。

 17年前の明日の僕は、17年後の自分が虹に感動するのではなくて、二次に感動するようになっていることを知ったらどう思うだろうか(白目&口から泡)あの日、確かに僕は17歳だった。そして、あれから17年たった。あの頃から沖縄が好きだったし、あの頃に僕の専門分野との関わりが始まりつつあった。

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 写真の中で、無邪気に笑う三人の高校生を見て、そして、色んなことがあったはずなのに、思い出してみると静かな一瞬でしかない17年間を思う。17年前の僕は、17年後の僕が、地元から遠く離れた東京で出版社やら新聞社やらの人と会って話してるだなんて思いもよらないだろうな。

 僕の青春は確かに終わっていた。だから17年前の明日の虹の向こうへ行こう。明日は長い一日になるなぁ。そう思いながら、僕は布団を頭からかぶった。