どっか暖かいとこで猫と静かに海みて暮らしたい

ネットの海の枯れ珊瑚がふく泡...('A`).。。... 書いてることは全部嘘です

にっき:出発、往復700kmの巡礼路

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3月31日 火曜日 快晴

 昨晩遅かったので、ちょっと起きるのが遅くなった。とは言え、いつも通りに起きたのだが。布団に包まっている博士を見るのは初めてだ。彼は基本寝袋で寝ている。研究調査で標高の高い山からジャングルの中など、そういうのに慣れているので、何ともないらしいが、やはり布団のほうが気持ちよいのではないかと、文明に飼らされた資本主義の豚である僕などは思う。

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 朝食は別部屋で寝ていた院生氏がすでに起き買ってきてくれていた。食後、再び朝の礼拝に出席。昨日の話との続きで、行って解いてやりなさい、安心して行きなさい、という聖書のことばが心に残る。

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 片付ける司祭を一枚。聖堂内のこういう空気は良い。いつかどうにもならなくなったら、修道院が僕を引き取ってくれないだろうか、と密かに思っている。もっとも、修道士というのは厳しい修練と自己訓練、明晰な頭脳、柔和で厳かな人格が必要なので、到底、僕には無理だろうけども。

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 出発前に、司祭が車を祝福してくれた。キリスト教版の厄払いである。僕はプロテスタントで、プロテスタント・キリスト教というものは、基本的にフェティッシュであることを忌避する傾向がある。要するに言葉の宗教なわけだ。ちなみに、フェティッシュというのは、宗教学の用語で呪物/物神崇拝と書くが、魔術的というのが分かりやすいかもしれぬ。

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 ということで祝福してもらった。効能はいかほどに、とも思うし、司祭自身も式文を読みながら、どこか可笑しく思うところもあるらしいが、三人目の所有者である博士のもとに来たボロボロのマーチは祝福されたのである。

 昼食前にと思っていたが、良い時間になったので、司祭ご一家と最後にくら寿司へ。回転ずしといえど、高知で海近いと味が違うのだそうだが、昨日最良のものを食べたので、比べようがないと司祭に言われた。

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 出発前、長男くんが近づいてきた。何かをたくらんでいる男の目だ。つか、これは悪い男の顔やで(戦慄)どんな男になるのか、期待大である。彼の父が、僕と友人たちをもてなしてくれたように、いつか彼が僕がいる街に出てきた際には、最上のもてなしを以て迎えよう。その時に、この写真を見せられたら面白いかもと思った。

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 くら寿司では、隣の席についた六人兄弟の家族に、大人五人いる我々の方が皿枚数において劣るという惜敗の結果となったが、良い昼食だった。最近は珈琲も売っているらしい。出てくるのに時間がかかったが、珈琲だった。

 ということで、出発。駐車場で司祭ご一家に挨拶。良い時間を頂戴した。するとチャイルドシートに乗った長女ちゃんが泣き出した。きっと博士と別れるのがさみしいのだろう。

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 帰り道、実は僕の研究のために一か所寄りたいところがあったが、時間的に無理と判断し、そのまま帰宅。が、高速に乗った後、ガソリンを入れ忘れたことに気付いた。気付いた瞬間、10秒前にSAを通り過ぎたことに続けて気付く。次のSAまで約25km、既に底をつきつつあるが、果たしてどこまで走るのか。帰り道にイベント発生は勘弁だなと思いつつ、祈るような気持ちで車は走る。

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 結果、無事に吉野川SAに到着。司祭にしてもらった祝福のおかげかもしれない。高速で立ち往生しなくて良かった。ほっとして、アイスクリンを食べ、お土産を少し買った。お遍路さん用のバスだろう。錫杖?というのか、孔雀王が戦うのに持ってるやつがたくさん刺さってた。ゆるキャラなどが引っ付いているものもあり興味深い。

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 どんどん走り車は元来た道を戻る。途中、三宮前後で10km程度の渋滞があったようなので高速を降りて、運転交代。博士に代わって、僕が帰宅まで運転した。夕食は、行きがけに昼食をとった吹田SA。京都王将でも大阪王将でもない王将に入った。SAなので、アルコール類は販売していない。偉い。飲酒運転に関してはイスラム教徒を模範とすべきだと思う。すっかり、あたりはすっかり暗くなって、夜9時半、無事に帰宅。事故にも災害にも会わず戻れて良かった。


 運転しながら思っていた。長い挫折が終わったのだ。渡米と帰国とその後、それは僕にとって長い挫折だった。もちろん終わりなど、恣意的な物語の切り方でしかないが、去年の今頃、本当に行先不明だった。だから、そのまま行方不明になりかけた。しかし、一年後、一応の方向性を決めるにいたり、新たな関係性の中で生活が動こうとしている。その意味では、長い挫折の果ての往復約700kmの巡礼路だった。2015年の25%が終わってしまったが、明日から4月だ。