どっか暖かいとこで猫と静かに海みて暮らしたい

ネットの海の枯れ珊瑚がふく泡...('A`).。。... 書いてることは全部嘘です

【投稿test】沖縄旅行記②:古宇利島→今帰仁城址 - 2013-10-03 21:01

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9/28(土)
 昨晩早く寝たせいか、六時台に起きる。早起きすると何だか自分がまともになったような気がする。気のせいだろうけど。
 亜熱帯の朝は、湿った冷気を風に含んで少しずつ街の体温を取り戻していく。立ち並ぶ寮の隙間からは海の青が空と水の稜線となり池澤夏樹の小説の一場面のようだ。珈琲を淹れて、ぼんやりとPCを触る。自宅の静かな朝も悪くない。しかし、外に出ると少しだけ馴染みのある見知らぬ世界が広がるのは、いい感じだ。出来るだけ音を立てないようにしていたら、いつの間にか時間が経っていて家主が起きてきた。なので彼と二杯目の珈琲を飲んだ。



 朝食は奥さんがつくってくれた、やたら豪勢なもので、普段、昼飯と朝飯を兼ねてドカ食いする僕の日常ではあり得ない食卓となった。なんかヨーグルトに黒糖が振ってあって、このあたりが、僕の日常とはかけ離れている。土曜の午前中はいつも聖書を教えているのだが、今日は、参加者のほとんどが出席できないとの連絡があり次週へと順延することとなった。午後からのバイスタも、あちらの教会キャンプと重複したそうでキャンセル。ということで、自由の身となり、宿を提供して下さっているご夫妻に連れられての外出となった。



 最初に行ったのは、BookAreaという古本屋で、ほしいと思う小説もあったのだが、買うと持って帰るのが大変なのでやめた。次に向かったのは、靴屋で、ここで島ぞうり380円を購入した。これで、雨がふってサンダルが濡れても大丈夫になった。さらに、今度はホームセンターへ。カーテンを買うとか。ちなみに、あまり大きな声で言えることではないが、国費を投じて造成された某大は設備も含めて凄いことになっている。これを国民の知るところになれば、おっと、誰かが(ry



 買い物を済ませて向かったのは古宇利大橋。渡る前に、サンドイッチを食べた。で、そこで、たぶん二年ぶりくらいに海につかった。塩辛いし、サメとかクラゲとか出そうで、ついに沖に浮かぶブイまでは泳がずじまい。波に押され揺られつつ、東北の津波の凄さとか、ただただ流されるままに、後退していく浮世の儚さみたいなことを思った。うねり動く青い液体はどこまでも美しいが、何かしら恐ろしい。ところで、シャワー室横に、かなり大きな蜘蛛が巣を張っていた。ピータージャクソン監督が見たらチビるだろうな。あと、ずっと気になったのは、変な泣き方をする蝉。説明できないけれど、僕の中では「ねじまき鳥」の声は、きっとこんな声に違いないと思った。
※ちなみに、この蝉は後でクロイワツクツクであると判明した。音声はこちら。
 



 古宇利大橋の後は世界遺産・今帰仁城址へ。13世紀から17世紀まで使われたという三山時代の遺構で、非常に美しいものだった。また、初めてみたが御嶽(ウタキ)が二つある。男子禁制の祈祷場であり霊的力場だそうだが、ここまで観光地となってしまったら見る影もないのだろう。僕はファナティックでファンダなキリスト教信者なので、この手の事柄の是非は問うまでもないのだが、宗教学的な意味で「聖なるもの」が死んでいくさまを見ることは、何か切なさがある。
※沖縄の習俗や怖い話については仲村清司さんが詳しいので超絶お勧めである。





 今帰仁城址そのものは広大で見ごたえのある美しいものだったが、果たして、どれくらいの人がこの遺跡の価値が分かるのだろう。これは僕の勝手な偏見でしかないが、いかにも脳筋米兵らしい外国人男性四人組が、ひたすらはしゃぎながらポーズをとり走り回っていた。また、ただただ子供の写真を撮りまくっている父親もおり、正直、こいつら、ここに来る必要ないだろうと思った。こういう狭量な自らこそがいなくなるべきだとは思いつつ、この手の観光客によって、中世の遺跡が荒らされるのは見るにたえない。





 あと、南国は割とどの街でもそうだが、猫が多い。この城址に住む猫たちがおり、彼らは歴史風土館のマスコットとして可愛がられているようで、何だか嬉しく思った。教会の自転車置き場にいた、あの子猫のことが少しだけ思い出された。また今帰仁城址に併設された資料館や土産物屋は、それなりに楽しい物だった。本来ならば守り神たるシーサーがゆるキャラへと身をやつしつつも笑顔でおどけている様が、吹き荒ぶ南風に立ち続ける今帰仁そのままに島人を表現していた。屑硝子と米軍占領下という歴史的状況を美しく吹き出した琉球ガラスの輝きのように、この島の全てが、オオシマゼミの大合唱とその反響に震動する原生林へと、滾々と流れ出すようだった。





 帰路は友人夫妻の願いもあって、タコライスを探しに。一か所、僕が知っている店があるので、そこへ行ったが、なんと遅くてすでに閉店準備に入ってた。仕方ないので、隣の鮮魚店の天ぷらでいったん腹ごしらえし、さあ、どうしようかと思ったら、さらに隣の食堂が開いていた。結局、そこでゴーヤーちゃんぷるを食べた。夜8時を回ると、南国の海と空は、降誕劇のように暗転してリゾートや街の光がちらついている。濃い空気の中を泳ぐように車は走り、長い一日を終えて僕らは帰宅した。