1月29日 金曜日 雨
最終週の最終日。アカデミックカレンダー上はこれから入試やら何やらだが、僕が関わるのは予餞会くらいだ。後期授業、これにて終了である。最後の授業は、午後から補講3コマぶっとおし。雨が降っていたが、長丁場だし1.5Lステンレス魔法瓶ポットに珈琲をつくって持っていった。同級生であるJDS=女子大生、顔だけ知っている有能某氏、そして院生氏が飲んでくれたので、雨の中もってきて良かった。
この授業に出席をすることで、今まで名前の経緯しか知らなかった古代思想が立体的になった。その研究史、方法、課題を眺望することができた。非常に有意義かつ最高に素晴らしい授業だった。
アブラハム宗教におけるギリシャ語、ゲエズ語、アラム語圏の関係性、中心となるシリア宗教の理解の重要性、ソグド人隊商の果たした役割など、アルメニア、エチオピア、ペルシャ、中国、トゥルク、モンゴル、縦横無尽にユーラシアを駆け巡るロマンと厳密な学術性の同居。憧れると同時に、僕は学者になれないなぁと思った。しかし、この授業を履修できただけでも、この学科に入った甲斐もあろうというものである。
授業後、先生のご厚意で近所の喫茶店へ皆で行くという話になり僕も行こうと思ったが、元同居人社会人氏が京都によるので泊めてほしいとのこと。雨も降っているし、喫茶店行きはやめて彼とラーメンを食べた。
帰宅後、彼と寿司ポリス、おそ松さんを見た。あと、20年前のNHKドキュメンタリー。在日、車イスの夫婦の生活について。二重のマイノリティである。度胆を抜かれたのは、その夫妻の旦那さんは車イスで駅前に出ていき、そこでパンを売る。そして、趣味はたまに行くパチンコで収録中に一時間で千円勝ったという場面。
今、こんな番組はどこも放送できないのではないだろうか。時代の大らかさを感じるとともに、この20年ほどで、本当に日本は貧しくなったんだなぁと思った。こういう番組を笑えない現代というのは、やはり物理的・精神的に余裕がないからではないか。しかし、二重のマイノリティ性を身に帯びつつ、しっかりと生きる人々の姿は胸を打つものがあった。