どっか暖かいとこで猫と静かに海みて暮らしたい

ネットの海の枯れ珊瑚がふく泡...('A`).。。... 書いてることは全部嘘です

休み:大正ロマン、古本を買う、ピカード

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3月27日 金曜日 雨

 9時半前に起床。ニュースはコロナ関連ばかりである。無響室動画を少しだけみた。地味に発狂はしないらしい。そりゃそうだろなと思った。日本にもあるんだなと。

 昼過ぎ、明日からは仕事なので今日は羽をのばしに贔屓の喫茶店へ。行きしな、大正期の小説『女給』を読む。

 作家・細井和喜蔵は、プロレタリア文学の人であり、『女工哀史』で有名な人である。それ以外は知らなかったが、読んでみると面白かった。

 現代よりも遥かに劣悪な労働/社会環境の中で、女性がキャッフェーで働くにいたる顛末を瑞々しくも生々しく描いた作品である。誇張もあるだろうが、現在に通じるところもある気がする。また、それでいて下品ではないのは、時代と作家の筆致のなせるわざかもしれない。興味があれば、以下リンクから一読されても良いだろう。

www.aozora.gr.jp

 本日は1日限りの「大正ロマン」喫茶である。大正時代は、研究にも関わるので、何だか楽しくなった。コロナのせいもあるのか、雨の大阪は人出少ない。座る前に、古本屋に立ち寄り、買うつもりはなかったが『折口信夫全集』『京都民俗志』を購入した。

 ナポリタンを食べて、大好きな小説に『異世界居酒屋のぶ』を思い出した。メロンソーダ、フルーツミルフィーユというのも、たしかに「レトロ」な印象があり、大変よかった。

 なお「レトロ」とは、懐古趣味という意味であるが、だいたい皆がどのあたりの時代を思い浮かべるのか、気になって聞いてみた。

 意外に「明治」が多く、また先の「万博」が多かった。日本史における大変革の後、歌うような陽気さのイメージがそこにはあるのかもしれない。明治維新の後、戦後の復興を遂げた後、その社会的空気。ぼくらが、そのような時代の空気を味わうのは、何年後になるのだろうか。

 そんなことを考えていたら、一人親方氏が隣に来てくれたので、なんだかんだとお喋り。ゆっくりと人生の悲喜交々について話せたので、大変楽しい時間を過ごせて良かった。コロナ云々はあるし、今後、日本における爆発的感染は不可避であるが、そのようなことの前に、こうして笑える日常を確認できることは良いことだと思った。

 一度、雨降る外に出て、別の古本屋へ。今度は、弔辞の社会学、教養の伝統、のような本を100円で見つけ、また柳田國男論集を350円で見つけたので購入した。夕食で、ホットドッグをコーラで齧った。

 帰りの電車混雑を避けるために、最近開いた2号店に顔を出してみた。折りよく18時開始とのことである。20時頃までいて、恵美須町駅から地下鉄へ。様々なことが思い出されて胸を衝く思いがこみ上げる。少し泣きそうになった。

 恋した場所がなくなって数年たって、春からは肩書きだけが少し変わる。少しずつ前へ進んでいく。明日明後日は通常通りの仕事日である。その後は、2020年度開始。論文を書き、本を作り、次なるステップへと着実に進まねばならない。 

 「大正ロマン」という時代は、江戸幕藩体制から「近代日本」を作るための大変革を成し遂げた明治のあとに、文化が大樹の枝のように分岐し繁った時期だった。約100年後の今から考えてみれば、五輪初参加、タイタニック号沈没、日活映画の登場、汽船、鉄道、ロシア革命、相対性理論、第一次大戦、スペイン風邪、アニメ、新聞、雑誌、ラジオ、都市化と格差、世界恐慌、大地震など、21世紀へと続くインフラの原型がほぼ完成しつつある時代だった。この100年で日本は何を得て、何を失ったのか。連続と切断は、問いの数だけ答えとなるだろう。

 近代の後と呼べるか否かは判らない。しかし、ぼくの時代が2045年までだとしたら、もう少しだけやることがあるのだろう。「大正ロマン」に遠き百年前の残り香を感じて、春めく雨に傘をさし、一歩踏み出してみよう、そんな思いを得た。

 帰洛後、ピカード最終話を見て終了。ライカーの演出が良かった。 

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