どっか暖かいとこで猫と静かに海みて暮らしたい

ネットの海の枯れ珊瑚がふく泡...('A`).。。... 書いてることは全部嘘です

にっき。沖縄:神戸空港から那覇へ到着。

旅はその後の人を饒舌にする。古今東西、それは変わらないだろう。その例にならい、僕も少しく今回の旅をこまかに、ここに置いていく。写真だけでも見て行ってくれると嬉しいし、それが、読者の良い休息になるならば、望外の幸いに思う。

6/8(土)
 朝、起きると頭がいたい。久しぶりの発表で緊張していたのかもしれない。にしても昨晩は実り多い夜となった。お坊さんたちの会合に出たことで、知り合う機会のない方々と出会い、かつ、宗教やキリスト教を考えるための良い刺激を頂いた。また初めて会ったにも関わらず、共通の知人を二人持つ方もあり、世界のというか世間の狭さを思った。
 帰宅後、カール・バルト研究会の牧師方がニコ生に出てくださった。マニアックな集まりだし、そもそも稀少職種なので、社会科見学的に楽しんでもらえたのではないかと思う。
 ということで、様々に疲れがあっての頭痛かもしれない。で、今日から実は沖縄である。神戸と那覇を往復ビジホ2泊付で2万3千円なのだ。毎月二千円の節約で来れる額なので、地味に楽しみにしていた。米国から戻ってすぐに一度、教会関係の知人を訪ねたこともあり、今回の訪沖となった。
 三宮から神戸空港へはポートアイランド線なるものが出ていて、旅の演出にはちょうど良い距離だといえる。ポーアイ線は、三宮から垂直に海に向かって空港へと伸びているので、神戸の市街地が徐々に離れていく様子が見える。このあたりに旅情があろう。
 神戸空港は小さな空港だ。実は、関空へ船でもいけるので、海上交通を味わいたい場合にも対応する。空港というのは不思議な空間で、屋上へ向かう一歩手前のような忙しなさがある。何かふわっとしている。




 機内で何か読もうと、せっかくなので仲村清司『本当は怖い沖縄』を買った。ゲートで、ガジェット類を出すのに手間取りつつ、搭乗口にて待機。予定通り、人の波が飛行機へと吸い込まれていく。
 僕は出発前の緊張感が好きだ。あまり感情を他人と共有することの少ない人間であるが、このときばかりは、みな携帯やデバイスの電源を落とし、生身の緊張を露にして、鉄鳥の足音と羽音に耳を澄ませる。機内添乗員のほかは口に出さないが、ここで失敗すれば死ぬことを誰もが理解している。離陸までのわずか数分、現代では珍しく、人は瞬間と感情を生々しく共有するのだ。
 飛行機の足が滑走路を蹴り上げて、羽が伸びる。離陸。水平線に対して斜めに上がっていく。安堵感と気圧を実感する鼓膜を感じながら、僕は少しだけ眠った。


 心地よい振動に目を覚まし、さっき買った『本当は怖い沖縄』を読み始める。元マルキストの作家・大学教員による異界沖縄のあり方の素描である。これが凄くいい。東北大学が震災以後の社会において臨床宗教師を推薦しているが、沖縄にはその代わりにユタが昔から根付いているように思う。共同通信の方が、臨床宗教師とは異界の公共圏化だと仰られたが、実は、それは沖縄においては既にユタの存在において為されてきたのではないか。




 聞いたことのない様々な沖縄独自の宗教文化を楽しみつつ、喉を潤そうと僕はアイスコーヒーを頼んだ。100円である。沖縄行きの機上にて、アイスコーヒーを片手に沖縄の異界に思いを馳せる。なんとも贅沢な時間を過ごした。仕事ではなく、休暇のために乗る飛行機は、その行為そのものが贅沢であり休日なのだ。





 
 機内アナウンスが高度降下を告げる。約二時間の旅も終わりである。眼下に広がる雲たちと背丈が同じになり、途中の島の白と青と緑の輪郭が見えてくる。刹那、飛行機が揺れて、体内の水分が上がって下がる。後ろの子供と共に何人かが、うわぁおおと黄色い声を上げた。さあ、着陸だ。


 到着後はタクシーで国際通り沿いのホテルへと向かい、レンタカーを調達。車載配信をやってみるためにカメラも手に入れたのだが、3G回線ではNLEだと落ちるし、簡単配信だと画質がべらぼうに悪い。でもやってみたので、それはそれで満足している。ちなみに、タクシーの運転手さんに、付け焼刃の沖縄の習俗に関して質問してみたが、マブイを落とす状態が腰が抜けた状態とほぼ同義であることは、非常に面白かった。フィールドワークのおもしろさは、こういうところにあるんだろう。つくづく宗教学に自分は向いていると思った。ちなみに、マブイとは魂とか霊とか、意識のことらしい。沖縄の観光資源である琉神マブヤーの名前も、この言葉に由来するみたい。あと、那覇は商人の町で、首里方面は武家で、昔は言葉も文化も違ったとか、そういう話も聞けた。楽しかった。






 ということで、沖縄の教会関係者と会い、沖縄料理を食べてブルーシールアイスをぱくついて、沖縄の夜はふけていく。良い一日だったと思う間もなく、僕はベッドに寝転んだ。
 ちなみに、以下のアイスは上から、バナナ・スーザン、ブルーウェーブ、ピスタチオである。アメリカ人が好みそうな量だし、事実、アメリカ人が多かった。沖縄に来たら、一度は店内で食べることをお勧めするアイスである。