7月6日 月曜日 雨
通常通り仕事を終えてのち30分ほど目上同僚と雑談。雨のせいか、全体的に予定が押して、目上同僚が待つためである。が、結局、法人長は連絡に来なかった。まあそういう日もあろうということで解散。
12時半くらいまで休憩させてもらい出発。いろいろと予定が押している。13時、防音個室のネカフェを初めて使い、新規案件についての説明を受ける。
実は最近スマホの調子がすこぶる悪いので買い替えようか…と思っていたら、zoomを削除したら治った。ところが、この案件のために再びzoomを入れた。しかし、それが吹っ飛ぶくらいにはありがたい話だった。
14時半には喫茶店へ向かい、昼食。どうにも驚いてふたふわしている。その後、畏友作家氏にも挨拶して、出発。風が強くて傘が危ない。大国町までどうしようかと迷ったが、タクシーとした。
運転手に、いまからフェリーというと、いろいろと会話が弾む。どうやら宮崎出身で、同じフェリーを使って関西で仕事をしているとのこと。しかも同世代である。
さらに「今からだと地下鉄ではぎりぎりになりますよ」と教えてもらった。フェリーは子供のころ、親に連れられて何度か乗ったはずである。また学部生のときに小豆島へいくのに乗ったと思う。しかし、個人で乗るのは初めてなので、集合時間ほか見立てが甘かったらしい。
「大急ぎで向かいますんで」と言われ、高くつくが有難いのでオファを承諾し、南港へ。道すがら、せっかくなので飯のタネにと何かおもしろい話はないかと取材がてら聞いてみた。予想しなかった話を伺えたので、これはこのまま記事化できるだろう。助かる。
16時20分、集合10分前には無事に到着。トイレにいったり戸惑っていたりしたら、無事に10分前には乗船できた。たしかに15分前到着だと、これ間に合わなかったな...。良かった。
折しもいまから向かう福岡県にも特別警報レベル５が発令とのこと。「すでに災害が発生しており、命を守るための行動をとれ」という意味である。いや、まじかよ…。
船内レストランを楽しみにしていたがコロナで休止。弁当を買っていたらすでに出航していた。その後は少し寝て、明石大橋をくぐるというアナウンスで起きた。夕方18時過ぎである。
普段、船に乗らないのでフェリーという巨大な密室の見知らぬ人々に、電車にはない緊張感を感じる。他の乗り物にはない感じである。さて、今回は「移動」そのものが目的であり、ついでに「旅情」と「読書」がついてくればよいと思った。読みさしの『裸のサル』と『旅の思想史』を持ってきた。
変な言い方だが、ちょっと遅れた博士課程満期退学の記念旅行でもある。コロナ騒ぎで、関西の外に出るのは久しぶりだ。地元に顔見せに行くべきではあるが、関西住みなので、とくに祖母に会うには躊躇してしまう。コロナは60代以上が明らかに重篤化しているので、どうしたものかと思う。
ということで、新幹線は高いし不特定多数へのスプレッダーにもなるので、船ならば限定された人数であり、行先も地方都市ならば問題なかろうという判断である。無論、この理由はいま考えた。
風呂は21時までと聞いたので、展望浴場に入ってみた。暗い瀬戸内海で、すれ違う船は窓の向こうでボンヤリとした明滅する構造物で、その波が浴槽を揺らしている。
新規案件について考える。願っていた仕事への大きな一歩どころか、事実上の小さなデビューとなる。疲れと喜びが湯にけぶり、未だ来たらぬ朝へと交錯する振動が心地よい夜。泣きそうで、幸せだ。
21時過ぎ、瀬戸大橋をくぐったので部屋に戻り就寝。橙色の横線が瀬戸大橋、薄緑が電車である。ここからは見えない地元を思いながら、船も電車もゆっくりと、しかし、静かに遠ざかっていった。
部屋に戻るとアナウンス。船旅の夜は早く22時半には消灯とのこと。疲れているし、枕を揺らすのが波なのかエンジンなのか判別もつかぬまま、寝落ちした。
